英語の勉強をしていると、「SV」や「SVO」などのアルファベットの並びを見たことがある人も多いと思います。これは英語の文型(ぶんけい)と呼ばれるもので、英語の文がどのようなパターンで作られているかを示しています。
文型を理解することは、英語を話す・書く・読む・聞くすべての場面でとても大切です。なぜなら、英語は語順がとても重要な言語だからです。たとえば、日本語では「私はケーキを食べる」でも「ケーキを私は食べる」でも意味が通じますよね。でも英語では、「I eat cake.」と語順が決まっていて、順番を間違えると全く別の意味になってしまうこともあります。
この記事では、中学生や高校生、あるいはそれ以上の英語学習者が「英語の文型って何?」という疑問を持ったときに、基本からわかりやすく理解できるように、5つの基本文型を一つずつていねいに説明していきます。さらに、それぞれの文型が日常会話でどのように使われているかや、文型を知っていると何が便利なのかも紹介していきます。
文型をマスターすれば、英作文もスムーズになり、英文を読むときの理解力もグッとアップします。ぜひ一緒に、英語の「文のかたち」について学んでいきましょう!
文型を理解するための基本記号
英語の文型を学ぶ前に、まずは文型の中でよく使われるアルファベットの記号の意味を知っておきましょう。文型では、次のような記号がよく使われます。
- S(Subject)=主語(しゅご)
文の主人公(=主語)となる部分です。「誰が」「何が」という役割を持ちます。たとえば「I eat pizza.(私はピザを食べる)」という文では、「I(私は)」がSです。 - V(Verb)=動詞(どうし)
主語が「何をするのか」を表す言葉です。たとえば「eat(食べる)」や「run(走る)」などが動詞です。「I eat pizza.」では「eat」がVになります。 - O(Object)=目的語(もくてきご)
動詞の「〜を」「〜に」に当たる部分です。動詞の後ろに来て、動作の対象を表します。「I eat pizza.」では「pizza(ピザを)」がOです。 - C(Complement)=補語(ほご)
主語や目的語の説明をする言葉です。少し難しく感じるかもしれませんが、たとえば「She is a teacher.(彼女は先生です)」という文では、「a teacher」が「She(彼女)」の説明になっていて、これがCです。 - M(Modifier)=修飾語(しゅうしょくご)
文の意味を詳しくするために使われる言葉です。時間や場所、方法などを表します。たとえば「He runs fast.(彼は速く走る)」の「fast」はMです。
これらの記号を知っておくことで、これから紹介する「第1文型〜第5文型」の説明がずっと分かりやすくなります。学校の授業や参考書でもこの記号はよく使われるので、しっかり覚えておきましょう!
コラム:英語の文は、すべて5文型で説明できるの?
英語を学んでいると、「英語の文は全部、第1〜第5文型のどれかに当てはまるんだよ」と聞くことがあります。でも、実はすべての英文がきれいに5文型に当てはまるわけではありません。
たとえば、次のような文を見てみましょう。
- There is a cat on the roof.(屋根の上にネコがいる)
この文では「There」が主語のように見えますが、これは形式的な主語で、本当の主語は「a cat」です。このような存在を表す文や、以下のような文も少し特別です。
- It is important to study.(勉強することは大切だ)
ここでも「It」は本当の主語ではなく、「to study」が本当の意味の主語です。
さらに、関係代名詞や接続詞が使われる複雑な文(複文・重文)になると、文の中に小さな文が入っていて、ひとつの文型だけで説明するのが難しくなります。
とはいえ、日常会話や基本的な英語の文は、ほとんどが5文型で説明可能です。だからこそ、英語をしっかり学ぶためには、この5文型をおさえておくことがとても大切なのです。
第1文型(SV):主語と動詞だけのシンプルな文
第1文型は、「S(主語)」+「V(動詞)」という、英語でもっともシンプルな形の文です。
この文型では、主語が何かの動作をするという意味だけが伝わります。目的語(O)や補語(C)は入りません。
✔ 例文を見てみましょう
- I run.(私は走る)
- Birds sing.(鳥たちが鳴く)
- She cried.(彼女は泣いた)
どれも、「誰が(S)」「何をする(V)」の形になっていますよね。これが第1文型です。
✔ ポイント①:短くても立派な英文
「I run.」のように、たった2語でも英文は完成します。日本語だと「え、これで文になるの?」と思うかもしれませんが、英語では主語と動詞がそろえば、文として成立します。
✔ ポイント②:動詞の意味に注目
第1文型では、使われる動詞が重要です。たとえば「run(走る)」「sleep(眠る)」「arrive(到着する)」「go(行く)」など、後ろに何かを「とる」必要がない自動詞(じどうし)がよく使われます。
✔ 日常会話での使われ方
実は第1文型は、日常会話でもよく使われています。
- He came.(彼が来た)
- She laughed.(彼女は笑った)
- It rained.(雨が降った)
このように、相手に行動や状況を伝えるときには、第1文型がぴったりです!
第2文型(SVC):主語と説明の関係
第2文型は、「S(主語)」+「V(動詞)」+「C(補語)」という形です。
この文型のポイントは、C(補語)が主語を説明しているということ。つまり、主語とは何か・どんな状態かを伝える文です。
✔ 例文を見てみましょう
- She is a teacher.(彼女は先生です)
- I became tired.(私は疲れた)
- The sky looks blue.(空は青く見える)
これらの文では、「彼女=先生」「私=疲れた」「空=青い」といったように、主語と補語がイコールの関係になっています。
✔ ポイント①:「=(イコール)」の関係を見つけよう
第2文型では、「S = C」という関係があるのが特徴です。たとえば「She is a teacher.」なら、「She(彼女)」と「a teacher(先生)」は同一人物ですよね。ここが第2文型を見分けるヒントです。
✔ ポイント②:使われる動詞に注目
この文型でよく使われる動詞は、次のようなものです。
- be動詞(am / is / are / was / were)
- become(〜になる)
- seem(〜のように見える)
- look(〜に見える)
- sound(〜に聞こえる)
これらの動詞は、後ろに主語を説明する言葉(補語)を必要とするものです。
✔ 日常会話での使われ方
第2文型は、相手の状態や性格、見た目などを伝えるときに便利です。
- You look happy today.(今日、うれしそうだね)
- He became famous.(彼は有名になった)
- This soup smells great.(このスープ、いいにおいがするね)
相手の変化や印象をやさしく伝えるとき、第2文型が自然に使われています。
第3文型(SVO):誰が、何をする、何を?
第3文型は、「S(主語)」+「V(動詞)」+「O(目的語)」という形です。
この文型では、「誰が」「何をする」「何を(誰を)」という、英語でとてもよく使われる基本的な構造になります。
✔ 例文を見てみましょう
- I eat pizza.(私はピザを食べる)
- She reads books.(彼女は本を読む)
- They play soccer.(彼らはサッカーをする)
どの文も、「〜を」「〜をする」といった形で、動詞の後ろに目的語(O)があるのがポイントです。
✔ ポイント①:「〜を」「〜に」が登場したら注目
目的語とは、動詞の動作の対象となるものです。
たとえば「I eat pizza.」の「pizza」は、「食べられる対象」ですね。動詞の後に「何を?」「誰を?」と考えてみると、第3文型かどうかがわかりやすくなります。
✔ ポイント②:他動詞がカギ
第3文型では、動詞として「他動詞(たどうし)」を使います。
これは、目的語が必要な動詞のことです。たとえば:
- eat(〜を食べる)
- like(〜が好き)
- play(〜をする)
- know(〜を知っている)
- have(〜を持っている)
これらの動詞は、「何を?」がないと意味が通じにくいのです。
✔ 日常会話での使われ方
第3文型は、日常会話でもっともよく使われる文型のひとつです。何かをする、誰かに何かを伝える、というときに自然に使われます。
- I love this song.(この曲が大好き)
- Do you watch anime?(アニメ見る?)
- She drinks coffee every morning.(彼女は毎朝コーヒーを飲む)
このように、会話の中でも自然に使われている構造なので、第3文型をマスターすると、ぐっと表現の幅が広がります!
コラム:自動詞と他動詞の見分け方
英語の動詞には、大きく分けて「自動詞(intransitive verb)」と「他動詞(transitive verb)」の2種類があります。この違いがわかると、どの文型になるのかを見分けるのがとてもラクになります。
✔ 自動詞とは?
自動詞は、それだけで意味が通じる動詞です。
つまり、動作の相手(目的語)を必要としない動詞です。
🔸 例文
- I run.(私は走る)
- She arrived.(彼女は到着した)
- He sleeps.(彼は眠る)
どれも、「何を?」「誰を?」がなくても意味がわかりますよね?
このような動詞が自動詞です。
✔ 他動詞とは?
他動詞は、目的語がないと意味が不完全になる動詞です。
つまり、「何を?」「誰を?」という動作の対象を必要とします。
🔸 例文
- I eat pizza.(私はピザを食べる)
- She likes music.(彼女は音楽が好き)
- He plays tennis.(彼はテニスをする)
これらの文では、もし目的語がなかったら、「I eat.(私は食べる)」では「何を?」となって不自然になりますよね。こうした動詞が他動詞です。
✔ 見分けるコツ
確認方法 | 自動詞 | 他動詞 |
---|---|---|
「何を?誰を?」が必要? | ❌ いらない | ✅ いる |
例文 | I go. / He sleeps. | I watch movies. / She reads books. |
文型との関係 | 第1・第2文型に多い | 第3・第4・第5文型でよく使われる |
✔ 注意ポイント:動詞によっては両方使えるものもある!
中には、文によって「自動詞にも他動詞にもなる」動詞もあります。
- He runs.(彼は走る)← 自動詞
- He runs a company.(彼は会社を経営している)← 他動詞
こうした動詞は、文の中での使われ方を見て判断することが大切です。
第4文型(SVOO):誰に、何をあげる?
第4文型は、「S(主語)」+「V(動詞)」+「O(目的語:人)」+「O(目的語:物)」という形です。
この文型では、「誰に」「何を」という、2つの目的語を取るのが特徴です。
よく使われるのは、「あげる」「教える」「送る」など、人に何かを与える・伝えるタイプの動詞です。
✔ 例文を見てみましょう
- I gave her a present.(私は彼女にプレゼントをあげた)
- He told me the truth.(彼は私に真実を話した)
- She showed us her photo.(彼女は私たちに彼女の写真を見せてくれた)
これらの文はすべて、「誰に(間接目的語)」と「何を(直接目的語)」がセットになっています。
間接目的語とか直接目的語って何!?
種類 | 日本語名 | 何を表す? | 例文 | 内容 |
---|
直接目的語 | 直接にうけるもの | 動作の対象(何を) | I gave her a book. | 本をあげた(何を?) |
間接目的語 | 間接的にもらう人 | 動作の相手(誰に) | I gave her a book. | 彼女にあげた(誰に?) |
✔ ポイント①:「誰に」「何を」が並んでいる!
第4文型では、次のような語順になります。
- 主語(S)+動詞(V)+「人(目的語①)」+「物(目的語②)」
この語順を意識すると、第3文型や第5文型との違いがわかりやすくなります。
✔ ポイント②:「to」や「for」が入ったら文型が変わる?
第4文型の文は、実は第3文型に書きかえることができます。
- I gave her a present.(第4文型)
→ I gave a present to her.(第3文型) - She bought me a book.
→ She bought a book for me.
このように、「to」や「for」を使うと第3文型になりますが、意味は変わりません。
前置詞 | 意味 | よく使われる動詞 | 例文 |
---|
to | 到達点(〜へ、〜に) 情報・モノが相手に届く感じ | give, send, show, tell, teach, lend など | I gave a gift to her. |
for | 利益(〜のために) 相手のために代わりに何かする感じ | buy, make, cook, get, find など | I bought a present for her. |
✔ よく使われる動詞
第4文型で使われる主な動詞をいくつか紹介します。
- give(あげる)
- show(見せる)
- tell(話す)
- teach(教える)
- send(送る)
- buy(買ってあげる)
- offer(申し出る)
「誰かに何かを渡す・与える・伝える」場面で使われる動詞ばかりですね。
✔ 日常会話での使われ方
- Can you tell me your name?(あなたの名前を教えてくれる?)
- He sent me a message.(彼は私にメッセージを送った)
- They offered us help.(彼らは私たちに助けを申し出てくれた)
このように、第4文型はコミュニケーションややりとりに欠かせない文型です。特に英会話では頻出ですので、使いこなせるととても便利です!
コラム:第4文型と第3文型、書きかえるとニュアンスが変わる?
英語では「第4文型(SVOO)」と「第3文型(SVO + to/for O)」は、文法的に書きかえが可能です。
たとえば、
- I gave her a present.(第4文型)
- I gave a present to her.(第3文型)
どちらも「私は彼女にプレゼントをあげた」という意味になります。
では、この2つの文に違いはまったくないのでしょうか?
実は、ニュアンス(話し手の焦点)が少し変わるんです。
✔ 焦点の違い:「誰に」 vs 「何を」
文型 | 焦点が当たるのは | ニュアンス |
---|---|---|
第4文型(SVOO) | 相手(誰に) | 「彼女にあげた」ことを伝えたい。人を重視した感じ。 |
第3文型(SVO + to/for O) | モノ(何を) | 「プレゼントをあげた」という行為がメイン。あとから「誰に」。モノ重視。 |
✔ 使い分けのイメージ
- I sent him a message.
→「彼にメッセージを送った」と、相手を強調したいときに使います。 - I sent a message to him.
→「メッセージを送ったんだけど、その送り先は彼だよ」と、モノにまず注目したいときに使います。
✔ ネイティブの自然な使い分け
ネイティブスピーカーは、相手との関係性、話題の流れ、言いたいことの優先順位によって、自然にこの2つを使い分けています。
- 強調したいのが「人」→ 第4文型(SVOO)
- 強調したいのが「モノ」→ 第3文型(SVO + to/for O)
どちらも正しい英語ですが、話し手の意図や強調点によって、選ぶ文型が変わるというわけですね。
✔ この段落のまとめ
- 文法的には書きかえ可能!
- でもニュアンスにちょっとした違いあり!
- 人を先に出す → 第4文型
- モノを先に出す → 第3文型
文型はただの「型」ではなく、気持ちの伝え方にも関わってくる表現の工夫なのです。
第5文型(SVOC):誰が、何をして、どうさせる?どうなる?
第5文型は、「S(主語)」+「V(動詞)」+「O(目的語)」+「C(補語)」という形です。
この文型の特徴は、目的語(O)と補語(C)の間に関係があるという点です。
つまり、目的語が「どんな状態になるか」「どうさせるか」を補語が説明します。
✔ 例文を見てみましょう
- I made him happy.(私は彼を幸せにした)
- She called me Tom.(彼女は私をトムと呼んだ)
- We found the room clean.(私たちはその部屋がきれいだとわかった)
これらの文では、「目的語(O)」と「補語(C)」がイコールの関係、または結果の関係になっています。
- him = happy(彼 → 幸せになった)
- me = Tom(私 → トムと呼ばれた)
- the room = clean(部屋 → きれいだった)
✔ ポイント①:「OとCの関係」に注目!
第2文型(SVC)では、SとCの関係が大事でした。
第5文型では、OとCの関係がカギになります。
文を見て、「CがOを説明しているか?」をチェックしてみましょう。
✔ ポイント②:使われる動詞に注目
第5文型は、使われる動詞の種類によって、意味が少しずつ変わります。代表的な動詞を以下に紹介します。
🔸 make(〜にさせる)
- I made her angry.(私は彼女を怒らせた)
🔸 call(〜を〜と呼ぶ)
- They called the baby Emma.(彼らはその赤ちゃんをエマと名づけた)
🔸 find(〜が〜だとわかる)
- I found the movie interesting.(その映画はおもしろいと思った)
name, elect, consider, keep, leave なども使われます。
✔ 第5文型には「〜させる」意味の動詞もある
次のような使役動詞(make, let, have)も、第5文型でよく使われます。
- My father let me go.(お父さんは私に行かせてくれた)
- The teacher had us write an essay.(先生は私たちに作文を書かせた)
このように、第5文型は「人に〜させる」という表現でも使われます。
✔ 日常会話での使われ方
- This movie made me cry.(この映画、泣いちゃった)
- He keeps his room clean.(彼は自分の部屋をきれいに保っている)
- They named their dog Max.(彼らは犬にマックスと名づけた)
少し難しそうに見える第5文型ですが、感情・印象・変化を伝えるときにとても役立つ文型です。
おわりに
英語の文は、一見するといろいろな形があるように見えますが、基本となるパターンはたったの5つの文型(SV / SVC / SVO / SVOO / SVOC)です。
今回の記事では、それぞれの文型について、何がどういう役割をしているのか、日常会話でどう使われているのかなど、具体的な例と一緒に説明しました。さらに、自動詞と他動詞の違いや、「to」と「for」の使い分け、そして第4文型と第3文型のニュアンスの違いなど、中高生がつまずきやすいポイントにもふれてきました。
英語は語順がとても大切な言語です。だからこそ、文型を理解しておくことで、文を読むときにも、話すときにも、どこに何を置けばいいかがはっきりとわかるようになります。
これから英語を学んでいくうえで、文型は「地図」のような存在です。最初は少し難しく感じるかもしれませんが、繰り返し文を見たり作ったりするうちに、自然と身についていきます。
この記事が、英語の「かたち」をつかむ第一歩になればとてもうれしいです!
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